2022/04/24 榊善成研究員の論文が公表されました

本学で博士を取得後,医療法人社団悠仁会羊ヶ丘病院リハビリテーション科で働きながら訪問研究員として研究活動を実施している榊善成先生の論文2本が去年アクセプトされました.
以下詳細になります.

Title: Effects of shoulder abduction on the stiffness of supraspinatus muscle regions in rotator cuff tear
Authors: Yoshinari Sakaki, Keigo Taniguchi, Masaki Katayose, Hideji Kura, Kenji Okamura (責任著者:谷口圭吾教授)
Clinical Anatomy, 35 (1): 94-102, 2021
Open Access:

本研究は,腱板断裂症例と健常者を対象に,等尺性肩甲骨面外転運動時に上肢の負荷が棘上筋各領域のスティフネスに与える影響を調査することを目的としました.その結果,前方線維深層部と後方線維浅層部,後方線維深層部のスティフネスに差がなかった一方で,前方線維浅層部は対照側と比べて患側が有意に低値でした.したがって,腱板断裂症例の棘上筋前方線維浅層部は,等尺性肩甲骨面外転運動において発揮張力が特異的に低下する可能性が示されました.

図:左は棘上筋前方線維浅層部のSWV (A),右は棘上筋前方線維深層部のSWV (B) を示す.棘上筋前方線維浅層部は,1/2自重量負荷課題と自重量保持課題において,患側と比べて対照側が有意に高値だった.

Title: Time-course changes in active stiffness of the supraspinatus muscle after arthroscopic rotator cuff repair
Authors: Yoshinari Sakaki, Keigo Taniguchi, Fumiko Sato, Naoki Oikawa, Masaki Katayose, Hideji Kura, Kenji Okamura (責任著者:谷口圭吾教授)
Journal of Medical Ultrasonics (2001), 49(1): 77-84, 2021

本研究は,小・中断裂の腱板修復術症例を対象に,棘上筋の収縮時スティフネスを経時的に調査することを目的としました.その結果,棘上筋前方線維浅層部の収縮時スティフネスは,手術後3ヵ月よりも手術後6ヵ月以降に改善しました.小・中断裂の腱板修復術後は,特に棘上筋前方線維浅層部を強化することが重要であり,手術後3ヵ月以降においても棘上筋のリハビリテーションが必要である可能性が示されました.

図:左は棘上筋前方線維浅層部のスティフネス (a),右は棘上筋後方線維浅層部のスティフネス (b) を示す.前方線維浅層部のスティフネスは,手術前において患側と比べて健側が有意に高値だった.また,患側において手術前と手術後3ヵ月と比べて手術後12ヵ月が有意に高値だった.手術後3ヵ月と比べて手術後6ヵ月が有意に高値だった.