2022/04/27 受賞報告:講座卒業生の長岡凌平さんがESC Preventive Cardiology 2022でthe best ePoster presentationを受賞されました。

第二講座卒業生の長岡凌平さんがESC Preventive Cardiology 2022でthe best ePoster presentationを受賞されました。
演題の詳細は下記の通りです。

Does serum 25-hydroxyvitamin D levels have impacts on sarcopenia in patients with chronic heart failure?
Ryohei Nagaoka, Satoshi Katano, Ryo Numazawa, Hidemichi Kouzu, Katsuhiko Ohori, Suguru Honma, Tatsuki Kamoda, Kohei Sato, Ryo Nishikawa, Wataru Owada, Nobutaka Nagano, Masayuki Koyama, Masaki Katayose, Akiyoshi Hashimoto, Toshiyuki Yano

心不全患者におけるビタミンDの低下はサルコペニアのリスク因子となるか?
長岡凌平,片野唆敏,沼澤瞭,神津英至,大堀克彦,本間傑,鴨田樹,佐藤晃平,
西川諒,大和田渉,永野伸卓,小山雅之,片寄正樹,橋本暁佳,矢野俊之

ビタミンDは食品あるいは皮膚で合成される栄養素で,体内で代謝されて臓器の働きを調整することが知られています.これまで,心不全患者の血清ビタミンD濃度が心機能と関連することが報告されてきましたが,骨格筋量や骨格筋機能との関連については明らかにされていませんでした.今回の本研究では,当院の臨床データベースを用いて,心不全における血清ビタミンD濃度[25(OH)D]の低下とサルコペニアの関連を検討しました.血清25(OH)D濃度とサルコペニア合併のリスクとの用量反応関係を解析し,オッズ比の上側 95% 信頼区間が 1 を下回る血清25(OH)D濃度の閾値 18 ng/mL を低ビタミンDと定義しました(Figure 1).多変量ロジスティック回帰分析の結果,低ビタミンDはサルコペニアの独立した予測因子となりました(調整済みオッズ比 2.03 [95% CI 1.31-3.16],p<0.01).また,低ビタミンDを有する症例は,低ビタミンDがない症例と比較し筋力および身体機能が有意に不良でしたが,筋量に有意差はありませんでした (Figure 2).このことから,ビタミンDが低下した心不全ではサルコペニアを併存するリスクが高く,栄養管理などの疾病管理プログラムの整備が必要であることが示唆されました.